ミャンマーでのHIV予防の取り組み 〜国立国際医療研究センター〜

隔月刊ドクターズプラザ編集部

生真面目で優秀な人材。今後に期待できる国

野崎 威功真氏

野崎 威功真氏

国際医療協力局
運営企画部 保健医療開発課

 本連載の第8回目の今号は、運営企画部 保健医療開発課の野崎威功真先生に登場していただいた。野崎先生は、今年3月に、1年8カ月に亘る、ミャンマーでのHIV予防の活動を終えて帰国した。医療機器や交通網が十分とはいえないミャンマーでの支援内容や活動の成果、生活の様子をお聞きした。

10年に亘るHIV予防活動

― これまでどのような国で支援活動をしましたか。
野崎 1年以上の長期で渡航したのは、2007年から3年4カ月滞在したザンビアと、2013年7月から今年の3月まで滞在したミャンマーで、どちらもJICAのHIV対策のプロジェクトでした。
 ザンビアは当時、人口の17%がHIVに感染している状況で、HIVの治療が目的でした。
 ミャンマーでは、輸血など血液を介したHIV感染を予防するというテーマで、安全な血液製剤、輸血のパックを供給することを目的に活動しました。

― ミャンマーにおけるHIV対策とは、具体的にはどのような活動だったのですか。
野崎 一つは自発的な献血の啓発です。プロジェクト開始当初のミャンマーは、法律では禁じられているものの、売血に近いことが行われていました。一般に、自発的な献血よりも、売血による血液の方がリスクが高いと言われ、WHOでも謝礼を伴わない自発的な献血、また繰り返し献血してくれるドナーを集めることを推奨しています。
 ミャンマーでは、宗教リーダーである僧侶が主催する献血イベントは多くの人が集まるため、その仕組みを作ったり、献血後に配るジュースの寄付を募るなどの活動を支援しました。
 もう一つは血液製剤の質の管理です。日本では血液の管理は日本赤十字社が集中して行っており、全国7カ所のセンターに集約し、製品化して配布しています。集中すると質の管理がしやすいのですが、同時に、血液が必要な病院に、短時間で輸送できる交通網があるから成り立つ仕組みです。
 ミャンマーでは、300カ所ぐらいの病院がそれぞれに血液を管理しています。十分な交通網もないので集中管理は難しいため、各病院で働くスタッフへの研修によって、質を確保する取り組みを続けてきました。
 非常に大事なのは、健康な献血者の登録です。日本は全てコンピュータでデータ管理され、日本中どこで献血をしても、過去の検査結果などを参照することができます。
 ミャンマーでは、主要都市、ヤンゴンとマンダレーにある大きい病院では、血液の在庫管理の仕組みを作る取り組みをしました。小さな病院では在庫を持つと、期限内に使い切れない可能性があるため、自発的な献血者のリストを作成し、血液が必要になると献血に来てもらうという仕組みを作りました。
 私は、これらの10年に亘る活動の最終段階で、活動の成果を確認し、まとめる仕事でした。


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