(第3回) 高齢者の患者さんも満足できる食事を

隔月刊ドクターズプラザ編集部

地産地消メニューと秘伝のカレーは人気№1 !

江別市立病院 診療技術部栄養科主幹 今野麻里子氏

 札幌市に隣接している江別市の主な産業は農業や酪農で、米や小麦、牛乳などを道内はじめ道外にも販売している “知る人ぞ知る” という人が多い地域である。また、江別市も他の地域と同様に高齢化が進み、嚥下困難な患者さんが多くなってきている。
 そんな地域の医療の中核となっている江別市立病院では、「いたわりの心」を持って患者さん本位の医療を提供している。その「いたわりの心」の一つが、地元の食材を利用した料理や北海道特有の料理などの提供である。嚥下機能の低下した患者さんに少しでも食事を楽しんでもらうよう、メニュー開発にも意欲的である同院の管理栄養士・今野麻里子氏に、詳しいお話を伺った。

地産地消を心掛けたメニューを提供

― 現在、こちらの調理のスタッフは何名体制なのでしょうか?
今野 大体30名ほどです。献立や調理は、平成20年から委託会社にお任せしています。

― この病院の食事に関する考え方を教えてください。
今野 当院は公立病院なので、地産地消に力を入れており、外部企業に調理を委託する前から北海道産の食材を使うことにしています。例えば、使用しているお米は江別産の「瑞穂のしずく」で好評です。そして、化学調味料や冷凍食材の使用は最小限にしています。

― 地元の食材にこだわっているのですね。
今野 ジンギスカンや石狩鍋汁などの、北海道独自の料理もなるべく登場させていますよ。もちろん、病院食なので家庭の味よりはどうしても薄くせざるを得ないのですが、こういう地元の料理を提供すると、患者さんに懐かしく思っていただけますので。

― ジンギスカンなどの地元料理はどのくらいの頻度で提供するのでしょうか?
今野 3〜4週間に1回程度ですね。いくら地元の食材だからと言って、週1回という頻度だとどうしてもワンパターンになってしまいますから。それで、毎月実施している嗜好調査を参考にしながら、3〜4週間に1回くらいで、患者さんが入院している間に1回は食べていただけるようにしています。

― 人気メニューはありますか?
今野 意外に思われるかもしれませんが、当院で1番人気メニューはカレーライスです。ポークや野菜など5種類あり、「レストランの味だ」「隠し味には何を使っているの?」とよく言われます。カレーについては、直営の時からの人気メニューなので、委託に切り替わってからも、評判を落とさないように、レシピを当院委託スタッフに伝授しました。

― メニュー開発について工夫していることはありますか?
今野 なるべく季節の食材と、その季節に合ったメニューを取り入れるようにしています。例えば夏場に石狩鍋汁を出すのはご法度で、冬場だけ出すようにしていますね。その他に、長期入院の患者さんもいらっしゃるので、丼物メニューなどのセレクトメニューもしています。

患者さんに食べる楽しみを提供したい

― この病院の患者さんはどのような方が多いのですか?
今野 江別市は酪農都市なので、患者さんは会社勤めの方よりも農家や酪農家の方が多いようです。そういった患者さんは、普段から体を動かしているので消費エネルギーが大きいですし、汗をかくので塩辛いものを好まれる傾向にあります。しかし、厚生労働省の摂取塩分の基準値が年々下がっているので、少ない塩分でおいしく味わっていただかなくてはいけません。そこで、さまざまな工夫が必要になっています。いくら健康に配慮した食事でも、美味しくなくて患者さんに残されてしまうと意味がないので、献立担当のスタッフには随分と頑張ってもらっています。


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