北海道・医療法人手稲渓仁会病院 救命救急センター

隔月刊ドクターズプラザ編集部

現場の救命救急チーム全体をコーディネートする

限られた資源と時間の中で最大限の初期治療を

奈良 理

奈良 理

手稲渓仁会病院・救命救急センター
救命救急センター長、救急科部長

 北海道では、現在4機のドクターヘリが運航されている。その中で最初に運航を開始したのは、札幌市の手稲渓仁会病院を基地病院とし、独自の研究運航を経てスタートした道央ドクターヘリだ。道央は、日本海側に面した地域で有数の豪雪地帯でもあり、冬期は雪がヘリの運航を左右する。また運航範囲が広いため、1回の出動に時間がかかってしまう場合もある。
 大学卒業時点から救命救急に携わっている、手稲渓仁会病院・救命救急センター長、救急科部長の奈良理先生に、道央での運航の特徴や現状などについて伺った。

 

2年9カ月の研究を経て、北海道で最初に運航を開始

― 道央ドクターヘリの基地病院である医療法人渓仁会手稲渓仁会病院について紹介してください。
奈良 手稲渓仁会病院は、1987年に開設されました。「地域住民及び利用者から信頼され、質の高い効率的な急性期総合医療サービスの提供」をミッションに掲げ、急性期総合医療を提供する病院を目指してきました。「ドクターヘリ基地病院」のほか、「初期臨床研修指定病院」(1997年)、「救命救急センター」(2005年)、「地域がん診療連携拠点病院」(2009年)、「地域災害拠点病院」(2011年)、「地域医療支援病院」(2012年)などの指定や、大学附属病院と同等の機能を有すると認められた病院に与えられる「DPC医療機関群II群(高診療密度病院)」(2006年)の承認を受けています。
 現在の病床数は636床で、札幌駅より電車で10分ほどの手稲駅から徒歩2〜3分、高速道路のインターチェンジからも近く、アクセスの良い立地環境にあります。
 2015年11月末に病棟をメインとした新棟が完成しました。最新設備を備えた手術室の増設や病棟個室率の増加、患者支援センター(仮)の新設などを計画しており、手術や検査の説明から入院前のオリエンテーション、退院調整からよろず相談まで、患者さんが迷わないワンストップサービスを目指しています。

― 道央ドクターヘリは、どのような経緯で、いつからスタートしたのですか。
奈良 運航を開始したのは2005年4月1日です。全国では9番目、北海道の4機の中では最初に運航を開始しましたが、それまでには2年9カ月間の研究運航がありました。
 広域な北海道では、以前から防災ヘリなどを使った航空機搬送が行われていましたが、病院から病院への搬送、離島搬送が中心でした。当時、札幌を中心に、ドクターヘリが必要だという機運があり、基地病院などが検討されている中で、当院は独自に研究運航を開始しました。
 当初はわれわれ救急に携わっている医師も、ドクターヘリの具体的なイメージが分かりませんでしたが、研究運航をしたことによって課題も見え、実績も積むことができました。各地域の消防や病院に出向いて詳しい説明を繰り返し、理解を得て、本格導入に至りました。

図: 飛行範囲・到達時間

― 騒音なども課題の一つだと思いますが、周辺住民の理解はどのようにして得ましたか。
奈良 研究運航の時点から、各地で住民向けの説明会を開くなど、理解を得る取り組みには重きをおいてきました。おかげさまで、基地周辺だけでなく出動先の方々も含めて、地域の皆さんにご理解、ご協力いただいています。
 運航開始後も、各地の消防へ定期的に出向いたり、2カ月に1度は、要請先の消防から事例を発表していただいて、消防、基地病院、搬送先病院、運航会社等を中心に議論する検討会も実施しています。また各地域で訓練を行う際には、声を掛けていただいているので、できる限り参加しています。そこでは時間が許せばドクターヘリを展示し、住民の方々に実際に見ていただけるような機会を設けています。


1page | 2page | 3page | next >>