(第9回) 多業種の連携で職種間の隔たりをなくす

隔月刊ドクターズプラザ編集部

薬局で働くことは在宅医療を形作っていけるチャンス

山口竜太さん

山口竜太さん
神戸学院大学薬学部6年

「患者さん」という人はいない

― 薬学部に進んだきっかけは何ですか?
山口 大学入試の時に、自分の得意科目で入れる学部が薬学部だったんです。薬剤師になりたいとか、医療に興味があるとかではなく、高校の時に化学と英語が得意だったので、それで入れる大学を探して、この大学の薬学部に入ることになりました。

― 今はどのような学生生活を過ごしていますか?
山口 6年生なので、授業を受けながら関西を中心に、主に「ノンテクユニバーシティ!」の活動をしています。

― 「ノンテクユニバーシティ!」とはどのような団体ですか?
山口 「ノンテクユニバーシティ!」は、医療系学生にノンテクニカルスキル教育を届けようという団体です。大学で学ぶ専門知識を、僕らはテクニカルスキルと呼んでいます。しかし、医療現場では思考技術、プレゼンテーション技術、マネージメントなどの非医療技術、つまり”ノンテクニカルスキル“も重要です。それを大学で学ぶ機会がないので、じゃあ自分たちで勉強会を作ろうと思い、仲間と創ったのが「ノンテクユニバーシティ!」です。
 僕が実習で感じたのは、「患者さん」という人はいないということです。「患者さん」には一人一人名前があり、それぞれ今まで歩んで来られた人生がある。例えば、高血圧の患者さんと一言で言っても、個々の人の生活スタイルや想いは全く異なります。そんな方々に画一的な医療だけを提供していて良いのだろうか。患者さん一人一人に最適な医療を届けたい。初めてノンテクニカルスキルに触れた時に、これが今の医療に足りないことだと感じました。しかし、それを大学で学ぶチャンスがなかった。だから自分たちで勉強会を立ち上げました。

― 思い出に残る出会いや出来事はありますか?
山口 4年前の2011年3月、東日本大震災が起きた時、アメリカで研修を受けていました。毎日忙しい中、何か日本でえらいことが起こっているなってことは分かっていました。しかし、全然情報を得る時間がなく、「大変だなぁ」くらいにしか思っていませんでした。そんな中、街のカフェを訪れた際に不思議な体験をしました。カフェの店員が「お前は日本人か?」といきなり話し掛けてきたのです。「日本人だよ」と答えると、店員が全員私の所に集まり始め、「お前の家族は大丈夫なのか?日本とお前の家族のために祈らせて欲しい」と言って、みんな業務の手を止めて祈り始めたんです。こんなことが何度もありました。この経験をして、「人って良いな」って純粋にそう思いました。


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