千葉県・日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター

隔月刊ドクターズプラザ編集部

外傷センターとして重症外傷の集約、研究や教育も

日本のドクターヘリ基地の先頭に立ち、1万件超の出動実績

八木 貴典

八木 貴典

日本医科大学千葉北総病院
救命救急センター助教・医員

 千葉県では、現在2機のドクターヘリで県全域をカバーしている。その内の一機を運航している千葉県北部、印西市の日本医科大学千葉北総病院は、日本のドクターヘリ事業の初年度から運航を開始し、その出動回数は昨年4月には1万回に達した。同院の救命救急センターは、重症外傷患者に対して決定的治療を行う「外傷センター」としての立場を明確にし、特に外傷診療に重点を置いたスタッフ、設備、研究・教育機能を備えた施設を目指すとしている。
 もともと文系で大学を卒業後、医学部に再入学したという救命救急センターの八木貴典先生に、同院の特徴や、ドクターヘリ運航の現状などについて伺った。

 

15分以内で千葉県全域をカバー

― ドクターヘリの基地病院である日本医科大学千葉北総病院は、どのような病院ですか。
八木 当院は1994年1月26日、日本医科大学の5番目の付属病院として開院し、今年の1月で22周年になりました。1999年4月には県内8施設目の救命救急センターに認定されました。「千葉県災害医療救護計画」においては、県内唯一の広域災害医療搬送拠点に選定されており、千葉県および成田国際空港の災害対策の重要な責務も担っています。
 ドクターヘリは2001年10月から導入され、広範囲熱傷、薬物中毒、急性冠症候群、急性大動脈疾患、脳卒中など、さまざまな重症患者の初期治療にあたっています。また中越地震や東日本大震災などの大規模災害にも、ドクターヘリを活用してDMATチームが出動しました。
 2004年からは千葉県警の主導により、全国に先駆けて「救急搬送支援システム(Medical Mobile Operation Control System:M-MOCS)」を導入しています。救急車両を優先的に通過させる「現場急行支援システム(FAST)」と、救急車の現在位置を医療機関に知らせる「車両通行管理システム(MOCS)」を統合したシステムで、全国的にも注目されています。
 当院は千葉県北中部、千葉ニュータウンの東の端に位置し、電車で都心からは約40分、成田国際空港までは約20分の距離にあります。もともと何もなかった場所に建てられた病院で、広大な敷地を持ち、大学病院でありながら地方の市中病院としての性格も持ち合わせています。

図:ドクターヘリの運航圏

― 北総病院にドクターヘリが導入された経緯は。
八木 先代の救命救急センター長であり、日本のドクターヘリ事業を推進してこられた益子邦洋先生は、アメリカ留学時代にミネソタ州のメイヨークリニック(Mayo Clinic)で、ドクターヘリの活躍を目の当たりにされたそうです。見渡す限り田畑や森林という、どちらかというと辺ぴな場所にあるメイヨークリニックと、北総病院の立地が似ていたと聞いていますので、ミネソタで効果を上げている医療システムを、日本でも実現したいという思いをお持ちだったのではないでしょうか。

― 千葉県では現在2機体制で運用していますね。
八木 はい。2009年1月には、千葉県で2機目のドクターヘリが、君津中央病院を基地病院としてスタートしました。出動から15分以内に現場に到着すると救命率が高く、「15分ルール」と呼ばれていますが、15分で到達できるのは半径約50㎞圏内です。2機体制になり、県の南側を君津が、北側を当院が担当することで、ほぼ千葉県全域に15分で到達することができるようになりました。

― 要請エリアの特徴はありますか。
八木 千葉県北部には山がなく、東京に近い西側はベッドタウンで人口が密集しています。
 出動要請は、当院から比較的近い消防からのものがほとんどですが、太平洋に面した地域は医療施設が少ないため、他のエリアに比べると要請は多いと思います。
 また千葉県の北側に位置するため、茨城県ドクターヘリの50㎞圏の円と重なっている地域があり、茨城県側に出動することもあります。


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